作家紹介
陶工絵師 【永遊心】 九谷焼
~ 日々の暮らしに彩りを提案し続ける女流陶芸家 永遊心さん ~
北陸の文化の中心といえば金沢。
兼六園や寺社、美しい街並みが伝統文化を今に伝える一方で、
常に新しい文化を創造し続ける街でもあります。
北陸唯一のプロフェッショナル楽団《オーケストラアンサンブル金沢》が活動拠点としていることも有名です。
そんな金沢から北国街道沿いに南西に位置する寺井町(現能美市)は、
九谷焼の産地として、その文化創造の基盤を担ってきたところです。
空・山・緑・水田・家屋・工房がバランス良く並んだ景観は、
生活と文化が日々生み出される土地柄なのです。
潤いのある暮らしを提案し続ける永遊心さんは、
ここ寺井町の九谷青窯で創作を続ける若き才能のひとり。
江戸の昔から生産性を高めるべく生地制作・絵付け・企画と分業化が進められてきた九谷焼業界にあって、永遊心さんは、日常食器のデザインから成形、絵付けまでを一貫して行うスタイルを執っています。
『日本人の普通の食卓に、
この先も手作りの食器があることを信じて、
毎日の生活を楽しく美味しくしてくれる器、
ちょっとした来客との会話も弾ませてくれるような器を目指したい』
そんな風に微笑みながら熱く語る永さんは、
若くチャーミングな瞳の中にも、つよい信念を点しています。
その作風にも、永遊心さんの信念が息づいています。
愛らしくモダンなデザインを伝統技法に取り入れる若々しさの一方で、
飾られるだけの作品ではなく、あくまで日用に供するための心遣い、
そしてなによりも食器がもたらす生活空間への深い思慮に、
成熟した矜持が感じられるのです。
音楽雑貨店プレリュードでは、弦楽器シリーズやヘ音記号マグカップシリーズを作っていただいています。
当店の企画案に何度もだめ出しをしながら試作を繰り返してくださる永さんは、私たち以上にお客様と日本の文化を見据えて創作しているのでしょう。
日本橋三越本店や大丸札幌店で毎年「永遊心 個展」が開催されているのは、こういった創作姿勢が高く評価されているからに他なりません。
彼女の白魚のような指から生み出される食器の数々には、
たくさんのメッセージが込められているのです。
永遊心 (とくなが ゆうしん) 略歴
1977年 札幌生まれ
札幌市立高等専門学校 インダストリアルデザイン学科卒業
在学中より《子供造形絵画教室まほうの絵ふで》にて幼児児童の工作絵画の講師として働く
京都にて陶芸を学ぶ。
2003年 秦耀一氏に出会い、氏の主宰する石川県の九谷青窯に入社
2004年 独立し、同窯にてフリーの陶工となり現在に至る。
2003年より、暮らしの器花田、サボアヴィーブル、スパイラルマーケットなどでグループ展を開催
2007年より、毎年日本橋三越本店、大丸札幌店にて個展を開催
日常食器のデザインから成形、絵付けまでを一貫して行う。
雑誌や本などに取り上げられたり、映画やテレビ、広告などに使われたりと活動の場を広げる。
- 2018.04.02
- 06:54
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